
名古屋を皮切りに始まった全国巡回展『ミュシャ展 運命の女たち Alfons Mucha’s Women』が11月23日、そごう美術館(横浜市西区)での開催をスタートさせた。本展はアルフォンス・ミュシャの生家の近くに住むズデニェク・チマル博士の親子三代にわたるコレクションより厳選された巡回展で、チマルコレクションのみで構成された展覧会が日本で行われたのは初めて。「運命の女たち」をテーマに、アルフォンス・ミュシャの10代の頃の素描からパリでの成功を経て晩年まで、と生涯を通じて制作された貴重な作品約150点を展示。ポスター、装飾パネル、素描、油彩画や水彩画などの作品はもちろん、ミュシャ自身やモデルの女性たちの写真、書簡等も展示し、ミュシャの私的な部分にも触れる内容となっている。同郷近隣の者が集めたコレクションならではの視点は、ミュシャという人物に近づけたような想いにさせてくれるだろう。

写真左)ポスター「椿姫」1896年、右上)素描「テレザ・トラブル」1883年、
右下)素描「イヴァンチッツェの思い出」1903年
ミュシャ作品の女性像は華やかであるが、作品の人物のモデルを写真で見られるのも興味深い。世紀の大女優と言われたサラ・ベルナールを描いたポスターを例にとっても、まずその豪華さに圧倒されるが、モデルであるベルナール本人の写真と比較して鑑賞するといろいろな想像力を掻き立てられる。ポスターのベルナールの姿は神秘と華やかさを併せ持ち、まだ見ぬ彼女を待ち焦がれる人々を熱狂させたことであろう。写真があることによって、役に扮したベルナールをよりリアルに感じることができる。革新的だと当時の人々を驚かせた彼の作品は、宣伝デザインならではのわかりやすい絵解きもお楽しみで、作品を隅々までじっくり鑑賞したいところだ。
「もっと知りたい!」という人には学芸員によるギャラリートークがおススメなので、公式サイトをチェックしてみよう。本巡回展は、関東唯一の開催地・横浜で最後。この機会をお見逃しなく。
『ミュシャ展 運命の女たち Alfons Mucha’s Women』
開催期間/2019年11月23日(土・祝)~12月25日(水)※ 会期中無休。
開催時間/10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)
一般1,300(1,100)円、大学・高校生800(600)円、中学生以下無料
※ 消費税含む。( )内は20名以上の団体料金。※ミレニアム/クラブ・オンカード、セブンカード・プラス、セブンカードのいずれか持参の場合、カード提示で( )内の料金で入館可。
※障がい者手帳各種を持っている場合、本人及び同伴者1名は無料。
主催/そごう美術館
後援/神奈川県教育委員会、横浜市教育委員会
企画制作/MBS
協賛/(株)そごう・西武
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