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「令和の米騒動」で活況見せる炊飯器市場 パナソニックが「おどり炊き」新商品の体験会を開催

独自技術「おどり炊き」を搭載した可変圧力IHジャー炊飯器『X9Dシリーズ』を9月上旬に発売するパナソニックが、マスコミ等を対象とした体験セッションを東京都内で開催した。同製品は従来のセンサーに「リアルタイム赤外線センサー」を追加することで、火力と圧力を調整する要である「ビストロ匠技 AI」の精度を向上し、米の甘みを従来比で約8%多く引き出すことに成功。会場では新製品で炊いた米を食べ比べて、その味の違いを体感した。

古米もおいしく炊き上げる「おどり炊き」の新製品

昨年から続く米価格の高騰やそれに伴う政府備蓄米の放出など米を取り巻く様々な現象から、一杯のご飯のありがたみをかつてないほど感じる現在。貴重な米をおいしく炊きたいという願望も高まっている。実際、パナソニックの調べによると、昨年まで長く減少傾向が続いていた炊飯器の出荷額は直近3か月で昨年比9%の伸びを見せていることからも、そうした世間の関心の高さが伺える。

そんな中、この日の体験セッションで紹介された新製品「X9Dシリーズ」は、新米はもちろん、精米後時間の経過した古米もおいしく炊き上げる技術を搭載した時代のニーズに合った製品だ。

そもそも同社が2013年から展開する「おどり炊き」シリーズの特長は、「Wおどり炊き」と「ビストロ匠技 AI」という2つの独自技術にある。前者は急減圧をともなう可変圧力技術による爆発的な沸騰力と、内外のIHを切り替えて泡の対流を起こす高速交互対流IHにより、一粒一粒の米にしっかりと熱を伝えきる技術。後者は米の水分量や室内温度などを見極めて炊き方を微細にコントロールしてくれる技術である。

このうち、今回の新製品ではビストロ匠技 AIが進化。従来からの沸騰検知センサー、リアルタイム圧力センサー、釜底温度センサーに加えて、「リアルタイム赤外線センサー」が新たに搭載された。

「従来製品は釜底の温度センサーだけで温度検知を行っていましたが、この接触型のセンサーは安定した温度を見ることに優れているのに対し、急な温度変化を見るのは得意ではありませんでした。そこで非接触型のリアルタイム赤外線センサーを増やし、温度変化を細かく見られるようになったところがX9Dシリーズの大きなポイントです」と同社くらしアプライアンス社キッチン空間事業部の林田章吾さんは説明する。

米を“もっとおどらせる”ことで一粒一粒の甘みを最大限引き出す

炊飯の行程は、前炊き、炊き上げ、沸騰維持、追い炊き、蒸らしの5つに分かれるが、今回の進化で大きく変わったのは、前炊きと沸騰維持の部分だ。

米が水を吸収する前炊きの行程では、米が甘くなる温度帯とされる40~60℃に早く到達させることが可能に。これまでは急速に加熱しようとすると60℃を越えてしまうため慎重な火入れが必要だったが、瞬時の変化を計測できるリアルタイム赤外線センサーが搭載されたことで過度な温度上昇を防ぎ、なおかつ適切な温度を維持することが可能になった。

一方で、米のアルファ化が進む沸騰維持の行程では水の残り具合を精度高く推定し、従来よりも早いタイミングで急減圧することが可能になった。「おどり炊き」は急減圧による爆発的な沸騰で一粒一粒の米に熱を伝える仕組み。従来製品では吹きこぼれが起きないよう確実に水が減った段階で急減圧が行われていたが、これもリアルタイム赤外線センサーの搭載でよりタイムリーな急減圧が可能になり、水の多い状態で沸騰が起こることによって“米のおどり”が一層活発になり、米に熱の伝わる率が向上された。

これらにより、新米の場合、従来製品で炊いたご飯に比べて甘みを約8%アップさせることに成功したという。

新しい「ビストロ匠技 AI」で炊いたご飯を試食

ビストロ匠技 AIは、ビストロ匠技 AIは米の状態を判断して圧力と火加減を自動調整してくれるので、新米に比べて水分量が低い傾向にある古米に対しても実力を発揮。2023年度産の米では、使用・不使用で甘みに約9%、ふっくら感に約8%の差があったといい、会場では2022年度産の政府備蓄米(ブレンド米)を使って、その味の違いを食べ比べた。

写真左がビストロ匠技 AI「不使用」のご飯で、右が「使用」のご飯。見た目は変わらないが、香りを確かめてみるとその差は歴然。不使用の方は古米特有の匂いをやや感じるのに対し、使用の方は新米に近い“活きている”香りがした。

一方で、味の方は、ビストロ匠技 AIを使ったご飯の甘みに驚き。はじめに噛んだ時の甘さはもちろんのこと、何より余韻の長さに大きな違いを感じた。

そして最後は新米の会津産コシヒカリでX9Dシリーズの本領を体験。しっかり粒の立った間違いのない味わいに、進化したビストロ匠技 AIの凄みを感じることができた。

会場には約70年前の電気自動炊飯器をはじめ同社の歴代炊飯器も展示され、高度成長期の時代から家庭の台所を支えてきた必須家電の歴史も感じる機会に。

『X9Dシリーズ』はオープン価格で、5.5合炊きのモデル(SR-X910D)で税込9万9千円前後、1升炊きのモデル(SR-X918D)で税込10万5千円前後を想定。色はブラックとライトグレージュの2色展開となる。なお、同社では9月4日からの東京会場を皮切りに、札幌、新潟、名古屋、大阪、広島、福岡の全国7都市で試食イベント「食べ比べ亭」を開催。最新技術の炊飯器で炊かれたごはんの味を確かめる絶好のチャンスなので、ぜひ足を運んでみてほしい。

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