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障がいを乗り越え土木の道へ ヒロミが迫る29歳職人のリアル「リスペクトムービー#2」

社会の基盤を支える建設現場。その現場で汗を流す職人たちは、私たちの暮らしを陰で支える存在でありながら、その実態が一般に語られることは決して多くない。道路や橋、住宅といった社会インフラは、数多くの職人たちの技と努力の積み重ねによって成り立っている。しかし、彼らが日々どのような想いで現場に立ち、どんな困難を乗り越えてきたのかを知る機会は限られている。

そんな“見えない努力”に光を当てたのが、今回公開されたドキュメンタリー「リスペクトムービー#2」である。本作に登場するのは、タレントのヒロミ、そして29歳の若き土木職人・小林大希さん。小林さんは幼少期に大きな怪我を負い、長いリハビリを経て建設の道に進んだ人物だ。障がいを抱えながらも挑戦を続ける姿は、単なる職業人の物語を超え、人間の力強さを映し出すものとなっている。

映像は、小林さんが働く現場にヒロミが実際に足を運び、作業に密着することで進んでいく。現場の厳しさ、そこで生まれる達成感、仲間との絆がリアルに描かれ、見る者に“社会を支える仕事”の尊さを改めて気づかせてくれる。スクリーンを通して浮かび上がるのは、ただの労働風景ではなく、職人という生き方の誇りである。

建設業を讃えるアワードから生まれた映像

今回のドキュメンタリーは、工機ホールディングスジャパンが展開する「HiKOKI BUILDER’S SPIRIT PROJECT」の一環として制作された。同社は2024年に「HiKOKI BUILDER’S SPIRIT AWARD」を創設し、建設業界や職人を応援する取り組みを続けている。過酷な環境の中で社会を支える人々の努力を讃え、その価値を社会に広く伝えることを目的とした賞である。

「リスペクトムービー#2」は、このアワードで第一回の総合グランプリを受賞した小林大希さんの姿を描いた。企画の顔となるのは、同プロジェクトのCCO(Chief Communication Officer)を務めるヒロミ。職人応援隊長として活動する彼が、小林さんの現場を訪ね、作業に立ち会いながら言葉を交わす様子が映し出される。企業のプロモーションという枠を超えて、職人の生きざまに迫る人間ドラマへと仕上がっているのが特徴である。

WEB動画「リスペクトムービー#2」概要
・タイトル:「リスペクトムービー#2」
・出演者:ヒロミ、小林大希、新田工務店の皆さま、原島建築の皆さま
https://youtu.be/3pDOkaZz9MU?si=utiLxLKyoR4Genwl

逆境を乗り越え、土木の道へ

小林大希さんの歩みには、困難の連続があった。小学校6年生のときに大きな怪我を負い、数ヶ月間人工呼吸器と共に過ごすという経験をした。その後も約6年間にわたってリハビリに取り組み、ようやく外での活動ができるようになったのは19歳の頃である。その時出会ったのが、父が営む建設業「新田工務店」での土木作業だった。現場監督の和田氏や父の技術と知識に触れ、圧倒的な迫力に衝撃を受けたことが、土木業界に進むきっかけとなった。以降、小林さんは2級土木施工管理技士、2級建設機械施工管理技士、大型運転免許など数々の資格を取得し、現場での経験を積み重ねてきた。現在は現場技術代理人として多様なプロジェクトに携わり、自らのハンディキャップと共存しながら仕事に邁進している。

障がいによる身体的制約がある中で、電動工具の存在は大きな支えとなってきた。動画の中でも登場する「グリースガン」は、手の動きに制限がある小林さんにとって、作業を可能にする重要な相棒である。道具とともに工夫を重ね、挑戦を続ける姿は、職人としての矜持とともに、人間の強さを浮かび上がらせている。

現場で交わされる本音の対話

映像の見どころは、ヒロミが実際に現場を訪れ、小林さんと率直に語り合うシーンである。普段はなかなか目にすることのない土木現場のバックステージに足を踏み入れ、資材置き場での作業や測量、掘削の様子が映し出される。重機を操作しながら淡々と仕事をこなす姿は、決して特別な演出ではなく、日常の一コマである。しかし、その日常の中にこそ、社会を支える大きな意味が宿っている。

「土木の仕事はきついイメージがあるのでは?」というヒロミの問いかけに、小林さんは「達成感のある仕事なので、一度興味を持ってもらいたい」と語る。そして最後には「土木、好きです!」と笑顔で言い切る。その一言には、どんな困難を経てもなお、この仕事に誇りを持ち続ける職人としての本音がにじんでいる。さらに映像の終盤では、小林さんを長年支えてきた師匠・和田氏からの手紙が登場する。ヒロミが代読して手渡すその手紙には、小林さんの努力と歩みに対する深い敬意と感謝が込められていた。映像は温かさと尊敬に満ちた余韻を残して終わる。

ドキュメンタリーが伝える普遍的なメッセージ

「リスペクトムービー#2」は、障がいを抱えながらも挑み続ける小林大希さんの姿を追った記録であると同時に、人間が逆境を乗り越える力を描いたドキュメンタリーでもある。師匠や父、仲間たちの支え、そして電動工具をはじめとする現場の技術に助けられながら挑戦を続ける姿は、特定の業界を超えて普遍的なメッセージを持つ。

小林さん自身も、動画の中で「身体が不自由な方や同世代の職人同士が繋がり、情報交換できるように発信していきたい」と語る。その言葉は、単に一人の職人の挑戦にとどまらず、同じ境遇の人々やこれから職人を志す若者へのエールとなっている。

HiKOKI BUILDER’S SPIRIT PROJECT
https://www.hikoki-powertools.jp/campaign/special/bsp/2024/index.html

職人の誇りを讃える映像が示すもの

「リスペクトムービー#2」は、単なるプロモーション映像ではない。そこに描かれるのは、障がいを抱えながらも挑戦を続ける一人の職人の姿であり、社会を支える現場のリアルである。ヒロミとの対話や師匠からの手紙は、その歩みに込められた重みを浮かび上がらせ、観る者の心を強く打つ。建設現場という普段は遠い世界に潜む価値を再認識させるとともに、職人への尊敬と感謝を改めて感じさせる作品である。観る者に勇気と気づきを与えるこの映像は、単なる業界紹介を超えた社会的意義を持つドキュメンタリーである。

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