東京から日帰りで秋の行楽を楽しむなら奥多摩へ!自然散策や神秘スポット、ご当地グルメまでお楽しみが満載!

都心に住む人が知らない多摩川上流の様相

カレンダーを見ればわかるが、今年はもう土日を絡めた三連休がない(泣)。「コロナはだいぶ落ち着いたし、季節は涼しくなって出かけやすい秋なのに、これじゃ東京から泊まりがけの行楽なんて行けないよ」なんて嘆いている人におすすめなのが、都心から日帰りで行ける奥多摩だ。新宿から奥多摩地区最大の駅・青梅までは、JR中央・青梅線でおよそ1時間。たったこれだけの時間を電車に揺られるだけで、都心とはまったく違う自然いっぱいの風景が広がる場所に行けるのだ。しかも、ここは紛れもない東京都。きっと「東京にもまだこんなところがあったの?」と驚くはずだ。

もちろん、自然だけなら東京近県に行けば見られるが、実は奥多摩にしかないスポットやグルメもたくさんあるのだ。日本酒蔵元での利き酒体験や、神秘的な鍾乳洞、ブランド和牛にご当地野菜。そして、これらが“東京都内”にあるということが奇跡と言わずしてなんと言おう。

ということで今回は、奥多摩町、青梅市、あきる野市を中心に、奥多摩の魅力的なスポットを紹介していこう。でもこれらのスポットを一日でまわるのは物理的に不可能なので、いくつかに分けてチョイスして数回にわたって行ってみてほしい。なにせ都心からすぐに行ける場所だから。

<グルメ>小澤酒造

奥多摩を訪れるなら、ぜひ訪れたいのが小澤酒造。「澤乃井」という三文字を見れば、お酒好きな関東人であれば誰もがピンとくる清酒・澤乃井を作っている蔵元だ。創業は1702年(元禄15年)。ということは、320年にわたって日本酒を作り続けているわけだ。ブランド名の由来となったのは、地名の澤井村(現・沢井)から。多摩川上流の御岳渓谷に沿う地にある澤井村は、きれいな水が沢のように豊かに湧き出し、酒作りに最適だったという。その水は今も健在で、敷地内の洞窟の奥から湧き出す中硬水、そしてそこから4kmほど離れた山奥の井戸から汲んだ軟水は現在も仕込水として使用されているそう。

関東のお酒好きにはおなじみの清酒・澤乃井。ロゴの周りの蟹は「サワガニ」。このあたりの沢には、きれいな水のあるところでしか生きられないサワガニが数多く生息しているのだとか。

到着したら、まずは工場見学を楽しみたい。お酒ができる過程を学びながら工場内を進んでいると、一刻も早く飲みたくなるから不思議。

洞窟の奥に今も現存する湧水。小澤酒造の宝物だ。

小澤酒造の魅力は、酒作りの見学だけではない。広大な敷地内には、直売所はもちろん、きき酒処、豆腐料理店やカフェ、オープンテラスで軽食が食べられるスペースまで用意されている。それに、すぐそばの多摩川に掛かる橋を渡れば、向こう岸には直営の美術館も。こちらを訪れるならクルマではなく、ぜひ公共交通機関で。お酒と景色を楽しみながら、うまいものに舌鼓を打つ。最高の一日になること間違いなし。

きき酒処では、工場でできたばかりのお酒も試飲できる。今の時季ならひやおろしも。

きき酒用のお猪口は持ち帰ることができる。

早朝にもかかわらず、お酒を楽しみにきた観光客で賑わう直売所前。

多摩川を見下ろすオープンテラスでお酒と食事を楽しむのもよし。

小澤酒造
住所/東京都青梅市沢井2-770
Tel/0428-78-8215
http://www.sawanoi-sake.com

遊歩道を歩こう
小澤酒造に向かうなら、多摩川沿いの遊歩道を歩いて行くのがおすすめ。自然と戯れながら歩を進めると、いつの間にか癒されていることに気づくはず。東京湾近くの多摩川しか知らないなら、まるで様相の違うその姿に驚くことだろう。

整備された遊歩道だが、所々には不安定な足場もあるので歩きやすい靴を用意したほうが無難。

いかにも天然の魚がいそうな川面。とても都内だとは思えない光景だ。

ふと川に目をやると、サギが飛んでいてビックリ。

ここは河口から69.6kmの場所。「わずかこれだけの距離で、川の様子って変わるんだな」と考えさせられる。

<スポット>御岳橋

小澤酒造からもほど近い、JR青梅線「御岳駅」の目の前に架かる御岳橋。青梅街道と吉野街道を繋ぐこの橋からは、多摩川を眼下に見下ろせる絶景スポット。これからの季節は紅葉を楽しむのにピッタリ。

意外とダンプカーの交通量が多いので、油断して車道に降りて撮影しないようにしよう。

10月下旬に橋の上から多摩川を見た様子。徐々に赤く色付き始めた木々は、これから半月ほどもすれば紅葉の見頃を迎える。

この日はカヌーを楽しむ人の姿も見えた。

御岳橋
住所/東京都青梅市御岳

<グルメ>儘多屋

創業は1883年(明治16年)。来年140年を迎える儘多屋は、かつて多くの宿泊客で賑わった岩蔵温泉に一軒だけ残ったレトロな作りの歴史ある温泉旅館。こちらでは、若手有機野菜農家などから仕入れた地元産の食材をたくさん使った里山料理が楽しめる。おいしくて健康的な食事を食べた後は温泉に浸かって、まるで時が止まったかのような空間でのんびりと過ごしてはいかが。

看板を見れば、歴史ある旅館だと一目瞭然。

この日、取材のために用意されたのは、地元・青梅の岩蔵野菜をふんだんに使用したカレーライスやサラダ、ピクルスなど。

デザートには、かわなべ鶏卵農場の卵をたっぷり使ったシフォンケーキ。新鮮で良質な卵のおかげか、生地は全然パサつきがなく、弾力あるモッチリ系で旨し。

儘多屋(ままだや)
住所/東京都青梅市小曾木5丁目3140
Tel/0428-74-4221
https://mamadaya.com

<グルメ&アクティビティ>繁昌農園

大学時代は海洋生命科学部で生態学を学んでいた繁昌さんが、ここ青梅で新規就農したのは2016年6月のこと。当初はわずか30aだった高地面積も、今では2haになり、岩蔵野菜を含め約40品目200品種の野菜を作っている。繁昌農園の野菜は、とにかく元気でカラフル、そしておいしい(前述の儘多屋さんでも繁昌農園の野菜を使用)。現在は個人宅配やマルシェでの販売が主で、その味に惚れ込んだファンも多いという。農業体験も受け付けているので、家族で参加してみてはいかが。

自らが作った大根を片手に野菜について熱く語る農園腫の繁昌知洋さん。

色鮮やかな夏野菜。どれもみずみずしくておいしそうだ。

こちらは秋野菜。食欲の秋にぴったりな食材がたくさん。

繁昌農園
住所/東京都青梅市富岡3丁目1050-7
Tel/080-5406-7654
https://hanjo-farm.com

<グルメ&ショッピング>JAあきがわ 秋川ファーマーズセンター

地元のお客さんはもちろん、観光客や海外からの視察団も訪れる都内最大級の直売所。こちらのウリはなんといっても地元農家が育てた安心・安全な採れたて野菜。春はのらぼう菜、初夏はトウモロコシ、夏はショウガが有名だ。あきる野市の浅野養鶏場が飼育する東京都のブランド鶏「東京しゃも」と「秋川牛」の冷凍肉もこちらで購入できる。

都内最大級の直売所らしく、かなり大きな建物の「JAあきがわ 秋川ファーマーズセンター」。

店内には地元農家が育てた採れたて野菜などが並ぶ。

JAあきがわ 秋川ファーマーズセンター
住所/東京都あきる野市二宮811
Tel/042-559-1600
http://www.ja-akigawa.or.jp/farmers2.html

<グルメ>竹内牧場

雌の黒毛和種牛を約200頭育てている竹内牧場。道路沿いにある牧場に入ると、ここが東京都ということを忘れてしまいそうなくらいの数の牛が出迎えてくれる。驚いたのは、牛舎特有の臭いがほとんど感じられないこと。清潔に保たれた環境は、牛にとってとても居心地がよさそうだ。松坂牛や米沢牛と同じ岩手県産の元牛は20カ月間大切に育てられ、ブランド和牛「東京秋川牛」として出荷される。その肉質はきめ細やかで脂の融点も低く、サシのバランスもよいため、有名レストランのシェフたちからの評価も高い。

牛舎というとギュウギュウ詰めのイメージがあるが、竹内牧場では牛がのびのびと動けるスペースを確保しているのでストレスが溜まらない。これが上質な肉質を育む重要な要因になるという。

ストレスのない牛は、とても穏やかな性格に。人が近寄っても騒いだりせず、むしろ歓迎してくれているようにさえ見える。

竹内牧場
住所/東京都あきる野市菅生1439
Tel/042-558-7454
https://takeuchi-usi-bokujo.com

<グルメ>松村精肉店本店

地域密着の“町のお肉屋さん”として親しまれている、創業70年の松村精肉店。竹内牧場で育てられた都内唯一のブランド和牛「東京秋川牛」をはじめ、青梅の三元豚ブランド「下田さん家の豚」、生産地・生産者限定の「東京しゃも」なども取り揃え、東京都産の畜産三品の普及にも努めている。同店のもうひとつのおすすめは、川牛を使った揚げたてのコロッケやメンチ。こちらは熱々のうちにどうぞ。

都心ではなかなか見かけることが少なくなった、町のお肉屋さん的な風情が感じられる「松村精肉店」。

店頭には「秋川牛」ののぼりが。

店内のショーウインドーの中に、秋川牛を発見!

店内で揚げる、秋川牛を使ったコロッケやメンチも大人気! しかも安い!!

松村精肉店本店
住所/東京都あきる野市小中野116
Tel/042-596-0253
https://www.e29-matsumura.com

<グルメ>秋川渓谷リバーティオ

秋川渓谷の「秋川渓谷リバーティオ」は、松村精肉店が運営するログハウスコテージ。広い敷地内には全11棟のコテージ、60台分の専用駐車場などがあるが、注目はホールやデッキ、炊事場などを備えたバーベキューハウス。肉屋さん直営なので、お肉の量や質、新鮮さは申し分なし。バーベキュー食材の配達も行っており、手ぶらで訪れても大丈夫。お酒の持ち込みOKなのもうれしい。

施設内にあるバーベキューハウス。

コテージと同じく、こちらもログハウスで席数は120席もある。

前述の松村精肉店直営なので、バーベキューには秋川牛や東京しゃもも用意できる。

岩蔵野菜もバーベキューで食べられる。

秋川渓谷リバーティオ
住所/東京都あきる野市小和田464-1
Tel/042-596-5101
https://www.rivertio.com

<スポット>日原鍾乳洞

東京都の天然記念物に指定された、広大なスケールの日原鍾乳洞。いざ足を踏み入れると、まるで異次元のような光景が目の前に広がり、幻想的な気分が存分に味わえる。年間を通じて洞内の温度は11℃で、冬は暖かく夏は涼しい。しかし高低差が激しくて急な階段も多く、40分のコース中盤頃には汗だくになる可能性が高いので、なるべく脱ぎやすい上着を羽織ってからの入洞がおすすめ。

本当にここは東京なの? というくらい巨大で神秘的な空間が広がる「死出の山」。

耳を澄ますと、水の滴が奏でる水琴の音色が聞こえてくる「水琴窟」。

「死出の山」から「さいの河原」を抜けると「縁結び観音」が。

床に固まって上に伸びていく石筍が見られる「金剛杖」。わずか1cm伸びるのに、上から下がる鍾乳石は約70年、石筍は約130年もの年月がかかるという。

日原鍾乳洞
住所/東京都西多摩郡奥多摩町日原1052
Tel/0428-83-8491
営業時間/8:00〜17:00(12月〜3月は8:30〜16:30)
料金/大人800円、中学生600円、小学生500円
http://www.nippara.com/nippara/syounyuudou/syounyuudou.html

<アクティビティ>日原渓流釣場

日原鍾乳洞のすぐそばにある管理釣り場。基本的にはマス中心の放流魚がメインだが、まれに天然魚が釣れることも。釣った魚は捌いた後、バーベキューコーナーで焼いて食べることができる。

ヤマメやイワナ、ニジマスなどを1日に2回放流する管理釣り場。

竿のレンタルもあるので、手ぶらで行っても大丈夫。

この日は早朝から竿を振っている人の姿もあった。

管理棟の中に飾られているのは、運よく天然魚を釣り上げた人たちの記念写真。

日原渓流釣場
住所/東京都西多摩郡奥多摩町日原1048
Tel/0428-83-2794
開設期間/3月1日〜11月30日
入漁時間/8:00〜16:00
放流時間/10:00、13:00
入漁料/3,300円
貸竿料/200円(1本)
エサ代/350円(イクラ)、500円(ブドウ虫)
http://www.nippara.com/nippara/turiba/turiba.html

<グルメ>釜めし なかい

地元で採れた旬の野菜や山菜、契約農家で精米したての新米で炊き上げた釜めしが味わえる人気店。この日も昼前から多くのお客さんで賑わっていた。こちらの一番人気は「きのこ釜めし」。濃厚なその味わいは、味付けだけではなく、個々の素材の旨みが合わさって作られたもの。付け合わせの刺身こんにゃくも美味。建物は店主が生まれ育った日本家屋で、客席からは四季を彩る草花や木々が見事な庭を眺められる。

平日の昼前にもかかわらず、店の前には順番を待つお客さんたちの行列が。

「きのこ釜めし」は1,700円(奥の焼き魚は別注)。

お肉類は一切入っていないのに、濃厚な味わいのきのこ釜めし。一番人気だというのもうなづける。

せっかく奥多摩に来たのだから、川魚も食べておきたい。ということで注文した「山女魚塩焼」は800円。旨し。

釜めし なかい
住所/東京都西多摩郡奥多摩町大丹波175
Tel/0428-85-1345
https://otaba-nakai.com

<スポット>奥多摩湖(麦山浮橋)

若い人は知らないかもしれないが、奥多摩湖は昭和32年の小河内ダム完成によってできたダム湖で、その正式名は小河内貯水池という。とはいえ、今や奥多摩観光の名所として人気の奥多摩湖は、都下では多摩湖(村山貯水池)とともにダム湖百選に選定された。奥多摩湖名物の浮橋は、麦山と留浦の2カ所に設置。ドラム缶状の樹脂を繋いだ歩行者専用の浮き橋で、青梅街道と対岸を結んでいる。

広大なその景色は、まさか人間によって作られたものとは思えないほど。

奥多摩湖名物の「麦山浮橋」。よく目を凝らすと、浮橋の上を駆け抜けている女性の姿が見える。

最近は浮橋でTikTokの撮影をする人もいるそうだ。

何やら船が浮橋に近づいていると思って見ていたら、なんと橋の一部が動いて船の通り道が。

奥多摩湖(麦山浮橋)
住所/東京都西多摩郡奥多摩町原

<ショッピング>手作り工房 四季の家

奥多摩で作ったものを、そのまま直売所で販売する、奥多摩の発信基地の役割を担う「手作り工房 四季の家」。もともとは昭和60年に設立された奥多摩特産物加工施設が前身で、2017年に新しいブランド「四季の家」としてリニューアル。東京産の食材にこだわったピクルスや味噌などは、以前からのファンのみならず、多くの人たちに愛されている。

青梅街道沿いに位置する古民家風直売所の「手づくり工房 四季の家」。

東京・西多摩産の野菜で作ったピクルス。食材の色がそのまま見えるカラフルなラインアップに目移りしそう。

なんと、希少な原木しいたけもピクルスに。

店内の冷蔵コーナーに並べられた、自然食品ファンに人気の奥多摩生味噌。

手作り工房 四季の家
住所/東京都西多摩郡奥多摩町白丸313
Tel/0428-83-3365
https://www.okutamas.co.jp/sikinoie/

<グルメ>カフェ山鳩

鳩ノ巣駅から徒歩1分、山歩きやウォーキングの休憩にピッタリなカフェ。大きな一枚板のテーブルが中央に置かれた店内はギャラリースペースとしても開放され、様々なクリエーターの個展が順次開催されている。メニューは奥多摩で作られた旬の食材にこだわったものばかり。安心・安全なだけでなく、その食材を知り尽くした人の手によって調理されたものを食べる瞬間が一番だな、と感じさせてくれる。

店先では、多くの植物が出迎えてくれる。

客席からは奥多摩の自然が眺められる。

シフォンケーキ(単品400円)は店主の奥様の手作り。添えられたフルーツやジャムは、季節によって旬のものに変わる。

店頭ではお嫁さんが作ったパンや、地元産食材にこだわったお惣菜も並ぶ。

カフェ山鳩
住所/東京都西多摩郡奥多摩町棚澤380
Tel/0428-85-2158
http://yamabatonosu.com

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