肥満と肥満症の違いを知っていますか? “高BMI県”の秋田で肥満症啓発イベントが開催
- 2025/11/5
- イベント

肥満症の啓発を目的としたイベント「『その肥満、肥満症かも!』プロジェクト in 秋田」が、10月31日から11月3日まで秋田県秋田市のイオンモール秋田で開催された。日本イーライリリーと田辺三菱製薬が展開するプロジェクトの一環として行われた本イベントは、分かりやすい展示やクイズなどを通じ、肥満と肥満症との違いや肥満症に対する誤った先入観について解説。肥満症に対する正しい知識を一般生活者に伝える企画だ。全国平均値よりも肥満率が高いことにちなんで開催地となった秋田の会場には、秋田県PRキャラクターの「んだッチ」も応援に登場。多くの人に来場を呼びかけ、健康について考える3日間を盛り上げた。
放置すればするほど恐ろしい、肥満症という「病気」
「肥満症」という病気をご存知だろうか。きっと、その言葉は何となく知っていても厳密な定義については答えられないという人が大半ではなかろうか。

肥満症とは、BMI(ボディマス指数)25以上の肥満の人が脂質異常症や高血圧など11種類の健康障害のうちいずれかひとつを抱えている状態のことをいう。同じ肥満でも健康障害の有無が単なる「肥満」と「肥満症」の分かれ目であり、肥満はさらなる合併症を起こすきっかけとなることから、肥満症はそれ自体が治療の必要な慢性疾患とされている。肥満症は男女共通の疾患だが、2001年に肥満症の診断基準を策定した日本肥満学会の『肥満症治療ガイドライン2022』によると、1973年から2019年の間で日本人男性の肥満者の割合は2倍近くに増加しており、特に40代から50代でその伸びが顕著で40%近くまで上昇するなど、働き盛り世代の多くが肥満症の危機にさらされていることが分かる。


多くの人が行きかうイオンモールの一角で行われたイベントの入り口には、「メタボリックドミノ」を立体表現したオブジェが鎮座。今にも倒れそうなドミノは、肥満を“上流”として高血圧や高脂血症などのメタボリックシンドローム、糖尿病や脂肪肝などの慢性腎臓病、脳血管障害や虚血性心疾患、さらには失明、脳卒中、心不全へと”下流”に進むごと重大疾患に発展していく肥満症の怖さを表したもので、そのカラフルな見た目に反して恐ろしい意味を含んでいる。

肥満を医師に相談するのは恥ずかしいこと“ではない”
場内では肥満症の基本的な知識を分かりやすく伝える展示のほか、肥満症のセルフチェックや○×クイズを実施。「肥満症を知ろう」「なぜ肥満症を治療しなければならないのか?」「肥満症の主な原因」などを紹介した展示パネルの前には、真剣な表情で解説を読む中高年の男性、ベビーカーを押す親子連れ、オブジェと記念写真を撮りながら回る若いカップルなど、さまざまな表情で肥満症を学ぶ人々の姿が見られた。

なお、肥満というと食生活の乱れや運動不足など不摂生が原因であると本人だけでなく周囲も先入観を抱きがちだが、展示を案内してくれたスタッフによると「肥満には遺伝や代謝など自らではコントロールできない点やストレスなどのさまざまな要因があり、運動をしたり、食事の内容を変えるだけでは体重を落とせない方もいます」とのこと。さらに「『肥満を直すために病院に行くのは恥ずかしい』と感じている方は多いかもしれませんが、まずは医師に相談していただきたいです。」と同氏は語る。
ちなみに私も会場の身長計と体重計を使って自分のBMIを測定してみることに。実は体重計に乗るのはしばらくぶり。なおかつ、ここ数日、とんかつ、唐揚げ、ステーキ、ラーメンとややヘビーな食事が続いていたため、やや不安を感じながら測ってみると、77.3キロという数字が。そして174センチの身長とともにチェック画面を入力すると、出てきたBMIは25.5…。

ギリギリ肥満体という結果に悲鳴を上げつつも、幸い今のところ該当する健康障害はないので肥満症にはあたらないことには安心したが、もはや肥満症に片足踏み入れている現実を直視し、もっと健康に気を使わなければと身が引き締まる思いになった。
“高BMI県”秋田の人々が、肥満症について学ぶ機会に
なお、本イベントの開催は9月の岐阜に続いて今回が2度目。今回の開催地が秋田に決まったのは、20代から60代までの男性における肥満者の割合が31.2%(厚労省調べ)と全国平均より高い水準にあり、さらに平均寿命と健康寿命が全国の中で下位にある県であることが理由なのだが、多くの来場者からは「そういう情報があることも知らなかった」という声が。

さらに小学生の子どもを連れて来場した40代の女性は「今まで肥満も肥満症も同じものというぼんやりとした先入観があったが、肥満症という病気があることを始めてここで知った。最近、夫の体形が変わってきたので今後の参考にしたい」と話し、一方でBMI測定で肥満と判定された30代の男性からは「11の健康障害はないけれど、別の持病を抱えているのでもう少し健康な生活を心がけたい。とりあえず普段の食事に野菜を増やすことから始めたい」というコメント。また、筋トレが趣味で肥満に該当しなかった50代の男性からは、「肥満が病気につながることは何となく分かっていたけど、こんなに恐ろしいとは思っていなかった」という声が聞けるなど、肥満症に該当しない人にも啓発の役割を果たす機会になっていた。
会場には、秋田県PRキャラクター「んだッチ」も登場し、来場の呼びかけをお手伝い。まだ子どもなので肥満症を気にするには早い年齢だが、場内の展示をしっかり鑑賞し、健康の大切さについて学べた様子だった。

肥満症を患い、さまざまな面に不便が出ることはQOL(生活の質)の低下にもつながる。本イベントでは、いきいきと働く、体調を気にせず美味しいものを食べる、元気に旅行に出かけるなど、日々の生活をエンジョイするためには、適正体重の維持など日々の心がけが大切だと身を持って学ぶことができた。なお、肥満症の情報については、「『その肥満、肥満症かも!』プロジェクト」のホームページでも詳しく解説されており、今回の会場と同様の肥満症セルフチェックもできるので、ぜひ健康への気付きを得るヒントにしてほしい。
『その肥満、肥満症かも!』プロジェクト:https://www.obesity-disease.jp/








