「てしごトリップ in BEAMS JAPAN」会場レポート “未来の伝統工芸士”の子どもたちによる世界にひとつだけの作品を展示

日産自動車の新型「セレナ」とビームスの共同プロジェクトによる「てしごトリップ in BEAMS JAPAN」が、東京・新宿の「BEAMS JAPAN」で8月29日から9月12日まで開催されている。本イベントでは、同プロジェクトが実施した「てしごトリップ」において日本各地の伝統工芸の工房に弟子入りした子どもたちの作品の一部を展示・販売。子どもたちの自由な発想を通じて、日本の伝統工芸の素晴らしさや、手しごとの面白さを発見できる空間になっている。ここでは本プロジェクトを牽引した2名のコメントを交えながら、会場の様子をレポートする。

“未来の伝統工芸士”に認定された子どもたちの作品を展示・販売

「てしごトリップ」とは、夏休みの子どもたちに新型「セレナ」による1泊2日の旅を提供し、旅先の伝統工芸士に弟子入り体験をしてもらうという企画だ。

「先進的な運転支援機能『プロパイロット2.0』を搭載した新型『セレナ』は、快適にロングドライブを楽しんでいただける家族のためのミニバンです。そのセレナの旅を通じて、子どもたちの成長や家族の思い出の提供になるようなことができないかと思い、ビームスさんにも賛同をいただきながら、日本各地にある素晴らしい伝統工芸を体験する旅の提供を考えました」

本プロジェクトが始まった経緯をそう語ってくれたのは、日産自動車チーフマーケティングマネージャーの村田直哉氏だ。

本プロジェクトを牽引した、日産自動車チーフマーケティングマネージャーの村田直哉氏(左)とBEAMS JAPANプロジェクトマネージャーの村山大介氏(右)

今年5月から行われた募集には倍率20倍を超える応募があり、その中から抽選で選ばれた14組が、福島県の「白河だるま」、北陸エリアの「越中和紙」、栃木県の「益子焼」、愛知県の「瀬戸染付焼」、京都府の「京丸うちわ」、香川県の「讃岐のり染」、佐賀県の「肥前びーどろ」という全国7エリアの工房にて弟子入り体験を実施。9月12日まで開催中の本イベントでは、弟子入り体験を経て“未来の伝統工芸士”に認定された子どもたちによる作品が展示・販売されている。

子どもの自由な発想が感じられる5点の作品たち

「たとえば、瀬戸染付焼の招き猫には『ふぉろわあ、1000万人』や『ころんでもがんばれ』という大人ではなかなか思いつかない表現が見られるなど、どれも子どもたちのクリエイティビティが光る作品ばかりです」と展示作品の感想を語ってくれたのは、BEAMS JAPANプロジェクトマネージャーの村山大介氏。

展示エリアに並ぶ5つの作品は、どれも一品限りの“世界にひとつだけの品”。それぞれの作品からは村山氏の語るように、子どもらしい自由な発想が伝わってくる。

「どの工房でも伝統工芸師の匠の話を真剣な顔で聞く子どもたちの様子が印象的で、親御さんたちも黙々と作品を作る姿を見守りながら、我が子の成長を喜ばれていたそうです」と、体験中の様子を教えてくれた村田氏。

一方で、子どもたちの感想として「回るろくろでコップと蚊取り線香を作ったのが、難しかったけど楽しかった。雲のお皿と名前プレートに色を付けるのが面白かった。雲のお皿を飾ってもらえるのが楽しみ」(益子焼の陶芸体験をした、ちさとさん)、「上手に描けたかな?と思いながら、たくさん絵が掛けたことが楽しかったです。色を塗るときと文字を書くときに、太さの違う筆を使い分けて描いたのが難しかったです」(瀬戸染付焼の絵付け体験をした、はるきさん)というコメントが紹介され、伝統工芸士とふれあうという貴重な体験を十分楽しんだ様子が伝わってきた。

子どもたち自身が自分の作品に値付け

このイベントのもうひとつの特徴が、子どもたちが自分自身で値付けまで行っている点だ。「自分で作ったものの価値を自分で決めるというのも、伝統工芸士さんの仕事のひとつであることを感じてもらいたかった」と村田氏。5点のうち、姉妹で参加した肥前びーどろの作品は、お姉ちゃんの作品が4400円であるのに対し、妹の作品は4730円。その330円の差の中に姉妹のどんなコミュニケーションがあったのだろうと考えさせられるとともに、それぞれの値段の中にも子どもたちの個性が表れていて面白い。

また、会場には「てしごトリップ」で工房を訪れた伝統工芸品をテーマにした塗り絵体験のコーナーも登場。体験した塗り絵は会場内に飾ることも可能で、来場した子どもたちが伝統工芸を見るだけでなく、感じる仕組みも設けられている。村山氏によれば「今回のような子どもが作った作品にフューチャーした催しを行うのはBEAMS JAPANで初めて」とのことで、陳列棚の四隅にコーナーガードを付けるなど、小さな子を持つファミリーでも安心して歩けるよう配慮されているのも隠れたポイントだ。

「『てしごトリップ』では、子どもたちの成長や家族の思い出を提供するという本来の目的を狙い通り提供できたと思っています。参加者の方たちから良い声が本当にたくさん届いているので、第2弾、第3弾についても検討したいです」(日産自動車・村田氏)

「今回は、家族だけの空間である車を提供されている日産さんと協力して、私たちが持っている知見も活かしながら素敵な企画に取り組むことができました」(BEAMS JAPAN・村山氏)

本プロジェクトの手応えをそう語ってくれた両氏。なお、会場では「てしごトリップ」で訪れた工房による伝統工芸品の販売も行われている。子どもたちの自由な発想による作品たち、そして日本の素晴らしい伝統工芸と出会いに、ぜひ会場を訪れてみてはいかがだろう。

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