食事に関する意識と幸福度の関係性を調査 食事で幸せを感じる人は人生の幸福度もアップする?

美味しいものを食べたときや、誰かと楽しく食事をして「幸せだな~」と感じることはないだろうか。人生80年から20年延びる人生100年時代では、食事の回数は2万回以上増加することになる(1日3回20年間食事する場合)。そこで株式会社Hakuhodo DY Matrixのシンクタンク「100年生活者研究所」は、20~80代の男女728名を対象に、食事に関する意識が人生100年時代の幸せにどのように影響するのか調査を行った。その結果、食事で幸せを感じることが多い人は人生の幸福度が上がるだけでなく、健康や人間関係・仕事での満足度も高い傾向にあった。また、同研究所設立時の調査で100歳まで生きたいと考えている人が3割程度だったという結果を踏まえ、「100歳まで生きたい」気持ちへの影響を調べたところ、食事で幸福を感じることが多い人は、そうでない人より100歳まで生きたい気持ちが約10ポイント高かった。

<調査結果詳細>

Q1. 食事で幸せな気持ちになったことはありますか?
―9割以上が「幸せな気分になったことがある」と回答

食事で幸せになったことがあるか質問すると、90.6%が幸せになった経験があると回答。内訳は、「ある」の35.3%が最多で、「たまにある」が31.7%、「よくある」が23.6%と続いた。一方、幸せになった経験が「ない」※と回答したのは9.3%にとどまった。
※ グラフ内の「ない」は、「あまりない」「ない」「全くない」の合計値(以降のグラフも同じ)

Q2. あなたは全体として、どの程度幸せですか。「とても不幸せ」を0点、「とても幸せ」を10点としてお答えください
―食事で幸せになった経験が「よくある」人は、ない人と比べて3点以上高い

Q1の内訳別に、現在の幸福度(10点満点)を比較。その結果、食事で幸せになった経験が「よくある」と回答した人は7.42点で、ない人の4.03点と比べて3.39点の差があった。また、「ある」人の幸福度は6.72点、「たまにある」は5.66点だった。

Q3. 現在、「健康」「人間関係」「仕事」「趣味・余暇活動」についてどれくらい満足していますか?
―食事で幸せになった経験が「よくある」人は、各項目の満足度が高い

Q1の内訳別に10点満点で生活面の満足度を尋ねたところ、食事で幸せになった経験が「よくある」と回答した人は健康の満足度が6.67点(経験なしと比べて2.58点増)だった。また、人間関係の満足度は6.92点(経験なしと比べて3.08点増)、仕事の満足度は5.9点(経験なしと比べて2.3点増)、趣味・余暇活動の満足度は6.67点(経験なしと比べて2.46点増)となり、食事で幸せになった経験が「よくある」人は、生活のさまざまな面での満足度が高いことがわかった。

Q4. 人生100年時代において、あなたは100歳まで生きたいと思いますか?
―「100歳まで生きたい」と思う人の割合は、食事で幸せになった経験が「よくある」人の方が、経験がない人より約10ポイント高い

100歳まで生きたい意向についてQ1の内訳別に質問したところ、食事で幸せになった経験が「よくある」人の41.8%が「とてもそう思う」もしくは「ややそう思う」と回答し、経験がない人の32.4%と比べて9.4ポイント高い結果に。また、「ある」人の38.9%、「たまにある」人の35.1%が「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した。

Q5. 食事で幸せな気持ちになった経験について、その内容をできるだけ詳しくお書きください(自由回答、一部抜粋)
―自由回答から、食事で幸せを感じているシーンは5つの項目に分類

①不自由なく食事がとれた時
・美味しいものを家族で食べている時。十分に食べられない人達もいると思うと幸せ(女性、40代)
・毎日3度の食事ができること自体、幸せだと感じる(男性、80代)
②家族や知人と食事ができた時
・週一回は友人と夕食を食べることで、食事が楽しみになっている(女性、20代)
・普段食べたことのない料理を、家族全員で食べて色々な感想を言う時間はとても幸せ(女性、40代)
③美味しいものに偶然出会えた時
・何度も食べに行きたくなるような美味しい、自分好みの店を見つけると幸せになる(女性、20代)
・たまたま入ったレストランで、注文した料理がおいしくて夫婦二人で幸せを感じた(男性、50代)
④料理が上手にできた/褒められた時
・自分で作った回鍋肉が、あまりの出来に感動して幸せを感じた(男性、20代)
・夫と食べるだけで幸せだが、美味しいと褒めてくれると最高に幸せ(女性、70代)
⑤ゆっくりリラックスして食事ができた時
・景色がきれいなところで、ひとりランチをするのが最近の楽しみ(女性、20代)
・仕事や将来のことでストレスを感じていても美味しいものを食べるだけで幸せ(女性、30代)

【100年生活者調査~食事編~】概要
調査目的:人生100年時代の幸福度と食事の関係把握
調査手法:インターネットモニター調査
調査期間:2023年8月
調査対象者:20~80代の男女728名

本調査結果に関して、100生活者研究所研究員の鈴木 良平氏は次のようにコメント。

100生活者研究所研究員 鈴木 良平氏

幸せには、大目標を達成した時に得られる「大きな幸せ」と、何気ない日常の出来事から感じる「小さな幸せ」があると一般的に言われています。Hakuhodo DY Matrixが2022年1月に公表した「ザ・ウェルビーイングレポート」でも、「大きな幸せ」よりも、「小さな幸せ」の方が印象に残ることを提言しています。生きる上で必要不可欠な食事は「小さな幸せ」に該当し、一回あたりの幸福感は小さいものの、食事を摂る回数が増える人生100年時代では一層重要になりそうです。では、食事から幸せを感じるには、どのような点に意識すれば良いのでしょうか。自由回答から導き出された5つの項目を参考に“幸せレシピ”をご紹介します。

①食への感謝の気持ちを持つ:不自由なく食事がとれることや食べ物が生きる力をくれることに感謝する
②会いに行く、つながりに行く:食事を通して人とつながったり、コミュニケーションを取ったりする
③セレンディピティ(偶然がもたらす幸運):新しいレストランや料理に挑戦して驚き・喜びを見つける
④自己肯定や自己承認を得る:新しい食材・料理に挑戦して、達成感や他人の笑顔を得る
⑤ゆっくりとリラックスした雰囲気を楽しむ:食事をゆっくりと楽しんで心身をリフレッシュする


この5つの幸せレシピのいずれかを意識すれば、きっと「小さな幸せ」をつかむことができるはずです。まずは美味しいものであふれる、食欲の秋から実践してみてください。毎日が少しだけハッピーになっていく。その積み重ねが100年人生を豊かで、楽しいものにしてくれるはずです。

日々の食事を何気なくするのではなく、ちょっと意識をするだけで幸せを感じることができ、さらにはその「小さな幸せ」が人生の幸せにも繋がるという今回の調査結果。食べることが大好きな筆者にとって、もはや食事は生き甲斐でもあるのだが、改めて食事に意識を向けることの大切さを感じた。“幸せのレシピ”にもあるように、まずは食への感謝を込めて「いただきます」と言いたいと思う。

■Hakuhodo DY Matrixについて
Hakuhodo DY Matrixは、「The well-being company」として人々の幸福と健康の増進に役立てることを目指し、博報堂DYホールディングスのグループ会社として2021年4月に創業。「100年生活者を見つめ、人生を通してWell-beingであり続けられる理想社会の実現に貢献する」というミッションのもと、シンクタンクである100年生活者研究所を通して、人生100年時代の幸せをテーマにした調査リリースを発信・提案している。
HP:https://well-being-matrix.com/100years_lab/posts/100report231012/

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