自由学園が独自のカリキュラム「飛び級社会人」を開始 高等科2年全生徒80名が本格インターンを経験して実社会で課題解決を学ぶ

『生活即教育』という理念とキリスト教精神を土台にした学びを実践する自由学園(東京・東久留米)が、多様な体験を通じて実社会で課題解決を学ぶ独自のカリキュラム「飛び級社会人」を開始。同カリキュラムは、高2生徒全80名が4ヶ月間にわたってIT企業からNPO法人まで、様々な「社会」に飛び出して本格的なインターンをする必修プログラム。10月25日には西池袋にある国指定重要文化財 自由学園明日館に全生徒とインターン先企業・団体が集まり、出発式が開催された。

自由学園常任理事 景山和憲氏

「自由学園では、社会の一員としてより良い社会を作るとはどういうことなのかを考えることを大切な学びのテーマとしています。中等科、高等科の6年間を通じて共生という独自のプログラムがあり、生徒のみなさんはそこから社会のあり方について多くのことを学びます。しかし、本当の社会は学校の中ではなく、学校の外にあります。知識だけでは実際の社会で行われている活動から得る経験は得られません。そのため自由学園では、高校2年生の早い段階で社会に飛び出して直接感じて学んでもらう、というのが狙いです」と飛び級社会人プログラムの意図を説明した。

東久留米市 副市長 荒島久人氏

「社会人出発式開催、誠におめでとうございます。高校2年生のみなさんが、これから様々な企業に出向いて、そしていろんな人と交わり、様々な体験や経験を積み重ね、大人の本気を十分に味わって、それをひとつの糧にして、今後の自分のキャリアプランをどう考えていくのかというところの参考にしてほしいと思っています」とエールを送った。

【参加企業・団体】※五十音順
• 秋田緑花農園
• JIYUアフタースクール
• 株式会社太田出版
• カンロ株式会社
• 有限会社きたもっく
• 特定非営利活動法人 共働学舎
• 特定非営利活動法人CLOUDY
• 株式会社クルメディア「TOKYO854くるめラ」
• KDDI株式会社
• 小杉湯
• 自由学園しののめ茶寮
• 自由学園明日館
• コミュニティFM 渋谷のラジオ
• ナッジ株式会社
• BS12トゥエルビ「BOOKSTAND.TV」
• ホテル金甚
• 本屋B&B
• 一般社団法人まちにわひばりが丘
• みらいくほいくえん
• モグショア合同会社
• ワンメディア株式会社

飛び級社会人のキービジュアルの制作を担当した博報堂デザインのクリエイターで、自由学園の卒業生でもある柿崎裕生氏

「僕は男子部の59回生で、おじいちゃんは男子の1回生。両親も弟も卒業生というわけで、生粋の自由学園っ子です。今回の飛び級社会人のビジュアルは、思い切って社会に飛び出して行ってほしいという気持ちで作りました。自分も長い間自由学園で過ごしてきましたが、社会に出た時にびっくりすることや面白いなと感じることがありました。それに対してビクビクせずに軽快に飛び出すというところを表現しています。また、この場でインターン生の皆さんにふたつ伝えたいことがあります。まず“アイデアの前では、みんな平等”。16歳だろうが60歳だろうが、アイデアを出すことに年齢は関係ありません。そしてもうひとつが“尊敬できる人を見つける”。僕の経験では、みなさんくらいの16歳から25歳くらいまでの大体10年間で出会う人で、本当にすごいなとか、この人みたいになりたいなという人に出会うことで、人生が結構変わります。これからインターンに取り組んでいく中で、このふたつを少し思い出してもらえるとうれしいです」とインターン生にアドバイスした。

柿崎さんが制作を担当した飛び級社会人のキービジュアル。
インターン生代表 金丸実由さん(女子部高等科2年)

「今回はこのような貴重な機会をいただき、ありがとうございます。先ほど学校でインターン先が発表され、皆とても楽しみにしています。 私は今回の飛び級社会人を通して自分の社交性、積極的なところを伸ばしていきたいです。
社会に出てたくさんの方と知り合えることができるこの機会で、たくさんの方と関わり、これまでにない視点から新しいことを学んでいきたいと思います。企画や提案をしていく中で、 何度も修正を重ね、困難なこともあると思います。そんな時も、結果だけを大切にするのではなく、その過程も充実した学びになるように取り組んでいきます。私たちも初めてのことで緊張しつつも、とても楽しみにしています。各インターン先の方々には温かく見守っていただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします」とインターンへの抱負を語った。

11月から社会に飛び出して本格的なインターンプログラムを体験する、自由学園高等科2年生のみなさん。

親にとって、我が子にできるだけ高度な教育の場を授け、幅広い将来の選択肢を選べるようにしてあげたいという思いを持つことは当然のこと。しかし実際に社会に出てみると、理想と現実のギャップに悩んで心身を病む若者が多いのも事実。高校生の段階から実社会の様子を体感できる今回の自由学園の試みは、そんな社会問題に一石を投じる画期的なものだ。この経験を糧に、生徒たちがさらなる高みを目指してくれることを祈りたい。

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