中小規模宿泊施設がホテル管理システムで抱える課題とは?そして実際の現場での活用状況はいかに?

コロナ禍が終わりを迎え、再び活気が戻ってきた旅行業界では近年、ホテルなどの宿泊施設でPMS(Property Management System)と呼ばれるホテル管理システムが導入されるケースが多くなった。利用客がインターネット上で宿泊予約や支払いができる現代、施設側もPMSを導入することでこれに対応し、よりスマートに効率化できるわけだ。また他にも、日々の会計処理や館内の整備に役立つ機能など、PMSを導入すると様々な業務をシステムで一括して管理することが可能に。そんないいことづくめのようなPMSだが、実際の現場ではどのように活用されているのだろうか。また、実際の活用状況や現場での課題についても気になるところだ。

そこで、誰でもすぐに業務を効率化できる宿泊管理システム『every+1(エブリワン)』(https://www.every-1.app)を運営するGRIT株式会社が、中小規模の宿泊施設に勤務する人を対象に「ホテル管理システム(PMS)の利用実態」に関する調査を実施した。

中小規模の宿泊施設の約65%がPMSを利用している

はじめに、「勤務先の施設では、ホテル管理システム(PMS)を利用していますか?」と質問したところ、以下のような回答結果になり、ホテル管理システムは中小規模の施設にも導入が進んでいることがわかった。

利用している(65.3%)
過去に利用していたが、現在はしていない(24.1%)
利用したことはない(10.6%)

PMSでよく使われている機能とは?約6割は満足に活用できていない

次に「具体的にどのような機能を使用していますか?(複数回答可)」と質問したところ、『ブッキングエンジンやサイトコントローラーへの連携(47.8%)』と回答した方が最も多く、次いで『POSシステム(45.8%)』『売上管理(42.9%)』『予約管理(32.7%)』『売掛管理(27.5%)』『購買管理(27.4%)』と続いた。また、よく活用している機能についてもう少し具体的に教えてもらうと、次のような結果になった。

■PMSでよく活用している機能や使用方法とは?
・予約管理を中心としている(40代/男性/神奈川県)
・経理システム(40代/女性/徳島県)
・空き部屋と埋まっている部屋を管理し、効率的に回るように活用している(40代/男性/広島県)
・複数のブッキングサービス(60代/男性/東京都)

客室の予約管理にホテル管理システムを使用している施設が多く、チェックインとチェックアウトの管理に使用しているという回答もあった。他にも、経理や売上管理などさまざまな機能が活用されていることもわかった。そこで「PMSの機能はどの程度活用できていますか?」と質問してみた。

かなり活用できている(39.1%)
ある程度は活用できている(53.1%)
あまり活用できていない(7.6%)
ほとんど活用しきれていない(0.2%)

この回答結果から、PMSを利用することで業務の効率化が図られている施設が多いものの、「かなり活用できている」を除いた約6割は満足に活用できていないことが判明した。

利用コストはどのくらい?PMSの課題点も明らかに

続いて「PMSの利用費はいくらほどかかっていますか?」と質問したところ、約7割が5万円未満でPMSを利用していると回答した。

1万円未満(7.6%)
1~3万円未満(26.6%)
3~5万円未満(39.4%)
5~10万円未満(19.4%)
10万円以上(7.0%)

また「PMSの利用にあたって、どのような課題を感じていますか?(複数回答可)」と質問したところ、『従業員への周知の徹底が必須(41.1%)』が最も多く、次いで『PCやタブレットの操作が必須(37.7%)』『初期費用や利用料金が高い(30.5%)』『サーバーを配置するためのスペースが必要(21.3%)』『操作が難しい(21.1%)』『主要サイトからの予約率が下がった(11.6%)』と続き、約4割が従業員への周知徹底が難しいと回答。業務効率化のためにPMSを導入しても、従業員が活用できるようになるための教育や研修に労力が必要だと感じている人が多いことがうかがえる。

PMS導入の課題について、もう少し詳しく聞いてみると次のような回答があった。

■PMSを活用するにあたって感じている課題とは?
・入力が難しい(30代/男性/大阪府)
・その都度従業員への使用指示を教育しないといけない(40代/男性/大阪府)
・仕組みを理解してシステム的な操作を行わないと、逆に効率が悪い。勉強は必須(40代/男性/広島県)
・新入社員への導入指導に難しさがある(50代/男性/京都府)

やはり、PMS活用には教育が欠かせないようだ。システムの仕様が煩雑である場合、特に使いにくさを感じる人も多いかもしれない。また、費用の高さを課題に挙げる人もいた。

PMSを導入していない理由とは?どのようなPMSがあれば利用したい?

PMSを利用していないと回答した人「PMSを利用していない理由は何ですか?(複数選択可)」と質問したところ、『導入が大変そう(50.1%)』が最も多く、次いで『導入後の管理が大変そう(32.8%)』『利用費が高いイメージ(24.7%)』と続いた。導入には初期費用がかかり、一からシステムについて勉強する必要がある。そのためのコストを考えると、PMSの導入に二の足を踏む人は多いのかもしれない。

では、今後はPMSを利用したいと思っているのだろうか。「今後PMSを利用してみたいと思いますか?」と質問したところ、以下のような回答結果になった。

とてもそう思う(5.8%)
ある程度はそう思う(64.1%)
あまりそう思わない(24.6%)
まったくそう思わない(5.5%)

およそ7割が、今後はPMSを利用してみたいと思っていることが明らかになった。PMS導入に興味を持っている人は多いようだ。そこで、どのようなことをPMSに期待しているかを聞いてみた。

「PMSにどのようなことを期待したいですか?(複数回答可)」と質問したところ、『使いやすさ(42.6%)』が最も多く、次いで『導入のしやすさ(41.5%)』『レジ業務の簡略化(27.5%)』『効率化による業務負担軽減(25.2%)』『施設内の管理業務の簡略化(17.8%)』『会計事務の簡略化(17.1%)』と続き、使いやすさが第1位、導入しやすさが第2位という結果になった。従業員が使いやすく導入しやすいホテル管理システムがあれば、今後PMSの使用を検討する人は多いかもしれない。

【調査概要】「ホテル管理システム(PMS)の利用実態」に関する実態調査
調査期間/2023年11月7日(火)~2023年11月13日(月)
調査方法/リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
調査人数/1,029人
調査対象/調査回答時に中小規模の宿泊施設に勤務する方であると回答したモニター
モニター提供元/ゼネラルリサーチ

今回の調査で、中小規模の宿泊施設の約65%がPMSを利用していることが明らかになった。実際に、客室の予約管理や経理、売上管理などさまざまな機能が使用されているようだが、「かなり活用できている」を除いた約6割は満足に活用できておらず、理由としては従業員への周知徹底や教育など、従業員全員へのPMS利用の浸透に課題があることがうかがえた。

またPMSを使用していない施設の多くは、導入や管理が難しそうであることを理由に導入していないことがわかった。ホテル管理システムの導入は業務の効率化につながるものの、導入のハードルが高いことや導入後の教育に課題があるようだ。海外からの観光客が激増し、スタッフの人員不足も叫ばれる今、従業員が使いやすく導入しやすいホテル管理システムが求められているのではないだろうか。

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