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熱中症対策のカギはミネラルにあり! 水分補給だけでは体調不良に 正しくミネラルを摂取して残暑を乗り切ろう!

日本列島が沸騰するような猛暑に見舞われ、観測史上最高気温を記録する地域も出るなど、今年の夏は命に関わる危険な暑さが続いている。そんな時に汗だくになったTシャツを着たまま冷房の効いた店に入ると、汗が乾いて白い塩が吹き出し、恥ずかしい思いをした経験はないだろうか。実はこの塩には、汗とともに体から流れ出た「ミネラル」が含まれているのだ。

この失われたミネラルを補わずに水分ばかりを摂取していると、体内の電解質バランスが崩れてしまう。その結果、「なんとなくだるい」「疲れが取れない」といった夏特有の体調不良につながる恐れがあるという。

そこで今回は、熱中症対策に不可欠なミネラルの知識を解説するとともに、正しいミネラル摂取で厳しい残暑を乗り切るための具体的な対策法を紹介しよう。

知っているようで知らない「熱中症」の仕組み

熱中症とは、高温多湿な環境下で体温調節機能が正常に働かなくなり、体内に熱がこもってしまう状態を指す。通常、私たちの体は汗をかくことで体温を一定に保っているが、大量の発汗によって水分や電解質(ミネラル)が失われると、血液の流れが悪くなり、体からの放熱が妨げられてしまうのだ。その結果、体温が上昇し、臓器の機能低下などを引き起こす危険性がある。

熱中症の症状は重症度によって3段階に分類されるが、その内容をしっかりと把握して、自分の体のサインを見逃さないことが重要だ。

Ⅰ度(軽症):めまい、立ちくらみ、筋肉痛、こむら返りなど。現場での応急処置で回復が期待できる。
Ⅱ度(中等症):頭痛、吐き気、倦怠感、イライラするなど。医療機関での診断が必要な状態。
Ⅲ度(重症):意識障害、けいれん、40℃以上の高体温など。生命に関わる危険な状態で、救急搬送が不可欠。

身を守るための3つの対策ポイント

熱中症は、「環境」「からだ」「行動」の3つの要因が重なることでリスクが高まる。それぞれの要因に応じた対策を日頃から意識することが、自分の体を守ることにつながる。

1.環境:日差しを避け、室内でも油断しない

外出時は帽子や日傘を活用し、直射日光を避ける。服装は通気性や吸湿性に優れた素材を選ぶことが望ましい。室内ではエアコンを適切に使い、設定温度28度前後、湿度60%以下を目安に快適な環境を保つ。

    2.からだ:徐々に体を暑さに慣らす

    急に暑くなった時期は、体が暑さに対応できていない。これを「暑熱順化」といい、短い時間の屋外活動から始めて徐々に体を慣らしていくことが有効だ。十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事も、体力維持のために不可欠である。

      3.行動:こまめな水分・ミネラル補給と休憩を

      「喉が渇く前」の水分補給が基本である。特に大量の汗をかく場合は、水だけでなく、塩分やミネラルを含むスポーツドリンクなどを活用することが推奨される。厚生労働省のガイドラインでは、100mlあたり40~80mgのナトリウムを含む飲料が望ましいとされている。また、屋外での活動中は15~30分おきに休憩を取り、体を冷やす工夫も取り入れたい。

        汗で失われるのは水分だけじゃない! ミネラルの重要性

        ミネラルは、体の機能を正常に保つために欠かせない五大栄養素の一つである。体内で合成できないため食事から摂取する必要があるが、特に夏場は汗で失われやすい電解質(ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど)の補給が重要となる。これらのミネラルは互いに影響し合いながら働くため、バランスよく摂取することが大切だ。

        熱中症対策に欠かせない3大ミネラル

        〈ナトリウム〉

        ナトリウムは体内の水分バランスや血圧の調整、筋肉の収縮に不可欠なミネラル。汗で最も失われやすい成分であり、不足すると脱水症状やめまいを引き起こす。塩、しょうゆ、味噌などの調味料のほか、梅干しや加工食品に多く含まれる。ただし、通常の食事で塩分を摂りすぎている傾向もあるため、大量に汗をかいた時以外は過剰摂取に注意が必要だ。

        ◆ナトリウム(⾷塩相当量)を含む⾷材◆
        ※⼀⼈前あたりの含有量

        ・⾷塩(⼩さじ1杯分/約6g)
        約6g
        ・濃⼝しょうゆ(⼩さじ1杯分/約6g)
        約0.9g
        ・梅⼲し(1個/約20g)
        約3.6g

        〈カリウム〉

        バナナ、えだまめ、トマトなどの野菜や果物に豊富に含まれているカリウムは、細胞内の水分量を調整し、筋肉や神経の正常な働きを支える。不足すると疲労感や筋肉のけいれんなどが現れることがある。水に溶けやすい性質があるため、茹でる際はスープにするなど、煮汁ごと摂取できる調理法がおすすめだ。

        ◆カリウムを含む⾷材◆
        ※⼀⼈前あたりの含有量

        ・バナナ(中サイズ⼀本/約100g)
        360mg
        ・えだまめ(⼩鉢⼀⽫分/約50g)
        245mg
        ・ドライトマト(ひとつまみ/約5g)
        160mg

        〈マグネシウム〉

        マグネシウムは300種類以上の酵素の働きを助け、エネルギー生産や体温調節などに関わる重要なミネラル。不足すると疲労感やだるさの原因となる。ナトリウムやカリウムと共に電解質のバランスを保つ役割も担っており、体温調節をスムーズに行うために欠かせない。アーモンドなどの種実類、海藻類、豆類、玄米などに多く含まれている。

        ◆マグネシウムを含む⾷材◆
        ※⼀⼈前あたりの含有量

        ・⼲しひじき
        (⼤さじ1杯分/約3g)
        19mg
        ・アーモンド
        (20粒分/約20g)
        58mg
        ・⽞⽶ごはん
        (茶碗1杯分/約150g)

        旬の夏野菜で手軽にミネラル補給!専門家が教える絶品レシピ

        暑い夏に失われがちな水分やミネラルを補給するには、旬の「夏野菜」を取り入れるのが効果的だ。トマトやきゅうり、なすなどには、熱中症対策に欠かせない水分、カリウム、マグネシウムが豊富に含まれている。

        今回は、管理栄養士の横川仁美さんが考案した、夏野菜の代表格であるトマトを使った手軽でおいしいレシピ「冷やしトマトと豆腐のお味噌汁」を紹介する。

        味噌汁は、汗で失われる塩分、水分、ミネラルを効率よく補給できる優れたメニューだ。そこにトマト、豆腐、わかめを加えることで、夏の暑さで乱れがちな体のバランスを整える手助けとなる。食欲がない日でもさっぱりと食べられ、冷たいままでも、電子レンジで温めてもおいしくいただける、夏の体調管理にぴったりの一品だ。

        <冷やしトマトと豆腐のお味噌汁>

        【材料】(1人分)
        トマト:1/2個 (80g)
        絹豆腐:1/2丁 (160g)
        わかめ(茹で):30g
        だし汁:220ml
        味噌:大さじ1/2
        みょうが:適量

        【作り方】(調理時間5分)
        ●だし汁と味噌をよく混ぜ、冷蔵庫で冷やしておく。
        ●トマトはくし形に切り、さらに半分に切る。豆腐は約1.5cm角に、わかめは2cmほどに切る。みょうがは輪切りにする。
        ●器にトマト、豆腐、わかめを入れて軽く和え、①を注ぎ、みょうがをのせる。
        ※温めて食べる場合は、だし汁にトマトと豆腐を入れて電子レンジ(600W)で約2分温め、その後、味噌を溶き入れてわかめとみょうがをトッピングする。

        レシピ考案 横川仁美氏
        smile I you 代表/管理栄養士管理栄養士として2000人以上の健康カウンセリングを実施。現在は食専門ライター兼料理研究家として、レシピ監修や企業のメニュー開発、健康事業のサポートなど幅広く活動中。
        HP: https://yokokawa-hitomi.com/

        この記事を読んでミネラルの重要性を理解したならば、健康と栄養素に関する正しい知識をわかりやすく発信している大塚製薬のWEBサイト『大塚製薬 栄養素カレッジ』でさらに知識を深めてみてはどうだろう。自身の健康を守るために、ぜひ一度チェックしてみてほしい。

        『大塚製薬 栄養素カレッジ』:https://www.otsuka.co.jp/college/

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